大学院版オンラインコース 2-1|欲求の5段階と、次にやるべきこと
いよいよ第2章へ。「自分はいま、どの段階なのか?」
翔太:
大学院版オンラインコース2-1ということで、今回もいちろさんと話していきます。
第1章では、前置きや前提となる概念を中心に話してきました。そこから2か月ほどかけて、ようやく第2章です。
ここからは、これまで話してきた「欲求の段階」について、かなり具体的に入っていきます。
- 5つの欲求段階は、それぞれどんな特徴があるのか
- 自分はいま、どの段階にいるのか
- 次の段階へ進むには、何をすればいいのか
- 明日から具体的に、何に取り組めばいいのか
このあたりを解き明かしていく回です。
いちろ:
このシリーズ、反響でも「難しい」という声が結構ありますよね。
翔太:
言われてますね。僕らも難しいと思いながら話しています。
ただ、難しいからこそ攻略しがいがあるし、大学院まで来ている皆さんだからこそ向き合えるテーマだと思っています。
それに、この欲求段階って、オンラインコースの9か月や個別指導の6か月くらいで、一段ずつポンポン上がっていくようなものではないと思うんですよ。
僕の感覚では、一つの段階を越えるのにも数年単位でかかることがある。
最上位の「積極的無欲」なんて、もはや長老レベルです。40代、50代とか、そのくらいの時間軸で考えてもおかしくない。
だから、「早く上がらなきゃ」と焦る必要はありません。
今回から各段階でやるべきアクションも話していくので、音声学習を続けながら、気長に取り組んでもらえればと思います。
欲求段階は「上に進む」のではなく、見える範囲が広がる
翔太:
本編に入る前に、5段階についてもう一度補足しておきます。
一番よくある誤解が、欲求段階を「階段のように上へ上がっていくもの」だと思ってしまうことです。

「段階」と言われると、どうしても上下をイメージしますよね。
ポケモンで言えば、リトカゲがリザードに進化するような感じ。前の自分とは別の、よりレベルの高い存在になるように捉えやすい。
でも、僕が近いと思っているイメージは少し違います。
上に上がるというより、後ろへ下がって、見える範囲が広がっていく。
テキスト版に図をつけていますが、前に進化するというより「後ずさりして俯瞰できるようになる」という感じです。

自分の考え方が全部なくなって、別人になるわけではありません。
「これが世界のすべてだ」と思っていたものが、実は世界の一部分にすぎなかったと気づいていく。
それが、マインドが成熟する、欲求段階が進むという現象に近いです。
例えば、一番手前にいるときは「自分の利益」が世界のすべてに見えます。
「俺は得できるのか」
「これをやる意味はあるのか」
「なんで俺はモテないんだ」
「なんでこの子は振り向いてくれないんだ」
オンラインコース受講前くらいは、こういう状態になりやすいですよね。
でも、学んでいくと「女性はこういうものを求めている」「相手からはこう見えている」という他者の視点が入ってくる。
そこで初めて、
「自分の利益だけ見ていたら、そりゃうまくいかないよな」
と気づけるようになる。
いちろ:
それ、仕事でも分かりますね。
僕、新卒の頃は「残業を1分でも多くやって金をもらってやろう」くらいに思っていました。
でも、仕事に慣れて周りから評価されるようになってくると、「これ、見栄え悪いな」「ちゃんと周りに貢献しないとな」と、少しずつ見えるものが変わってくる。
最初は自分のことしか考えていなかったところから、周りまで見えるようになる感じですね。
翔太:
そうです。これは恋愛だけではなく、仕事でも人間関係でも趣味でも使える話です。
大事なのは、今見えているものを「世界のすべて」だと思わないこと。
例えば、今はクロージング数や成功率が大事な時期かもしれない。それ自体は正しいんです。
ただ、少し後ろへ下がって視野が広がると、その先にはもっと難易度の高いゲームがあると気づきます。
視野が狭いと、選択肢そのものが見えなくなる
翔太:
分かりやすい例として、学生時代を振り返ってみてください。
中学生や高校生の頃って、「学校のクラス」が世界のすべてに見えることがありませんでしたか。
そのクラスでいじめられないこと。
そのクラスで生き残ること。
そのクラスでどういうポジションにいるか。
それしか見えない。
でも、大人の視点から見たら、いじめられているなら「転校する」という選択肢も普通にあります。
親なら「そこまで辛いなら転校しよう」と言える。
でも、当事者の子どもには、その選択肢自体が見えなかったりする。

それは、その輪の中だけで世界を見ているからです。
その後、進学校へ行けば今度は「学歴」が世界のすべてになる。
僕も進学校にいて、志望校によってクラスが分けられていました。
上のクラスにいる人間ほど格が高い、みたいな感覚が本当にあったんです。
でも社会人になって振り返れば、「そんなことで人間の格が決まるわけない」と分かる。
ところが次は就活で、「大手に入ったら勝ち」「ベンチャーはかっこいい」「年収が高いほど偉い」という別の輪の中に入っていく。
僕らは、こうやって何度も同じことを繰り返します。
いちろ:
ブラック企業の「お前はこの会社以外では通用しないぞ」みたいな話もそうですよね。
言われ続けると、どんどん視野が狭くなって、「ここで価値を出せなかったら俺は終わりだ」みたいになってしまう。
翔太:
僕も前職でコンサルをやっていたとき、まさにそうでした。
激務の中で、仕事と成果に取り憑かれて、ずっと追われていた。
当時の僕は「この会社を辞める」という選択肢を自分では取れなかったんです。
1社目だったこともあって、
「周りはこの環境でやれているのに、ここでついていけないなら、俺はどこへ行っても通用しない」
と思っていました。
今考えたら、そんなわけないんです。
でも、そのときは本当に見えなかった。
最終的には壊れて、周りに辞めさせてもらうようなところまで行きました。
視野が狭いというのは、単に考え方の問題ではなく、人生を壊すくらい選択肢を失わせることがある。
だからこそ、マインドが成長して俯瞰できるようになることには意味があると思っています。
欲求段階は「飛び級」できない
翔太:
もう一つ重要なのが、飛び級はできないということです。
いちろ:
いきなり先の段階の話を聞いても、理解できないという感じですか?
翔太:
近いです。
会社で言えば、平社員の自分、課長、部長、社長と、それぞれ見えている範囲が違いますよね。
平社員の頃に社長の話を聞いても、
「何を言ってるんだ?」
「抽象的すぎて分からない」
「先のことを見すぎていて、言語が違う」
みたいになることがある。
でも課長の話なら、少し難しくても何度か聞けば理解できる。
欲求段階もそれに近くて、基本的には一つ先くらいまでしか実感として理解できないんです。
いちろ:
数学みたいな感じですかね。
数ⅠAの前提がないまま、いきなり数ⅢCへ行っても理解できない。数ⅡBをやって、その上で次へ進む。
翔太:
近いと思います。
知識として聞くことはできても、知っていることと、納得していることは違います。
例えば、「自分らしいパートナーを選びましょう」と言われても、クロージング数が2〜3人くらいしかなくて、周りにはもっと経験している人がたくさんいると、
「今の彼女をパートナーにしていいんですかね」
「俺、ちゃんと最適な判断できてるのかな」
と、どうしてもそわそわしますよね。
一つ前の欲求をやり切っていないと、その不安が後ろから追いかけてくるんです。
クロージング数にずっと憂いがある状態で、「世界中に魅力的な男性を増やそう」と言われても、全身全霊では悩めない。
だから、一個ずつやり切る必要があります。
今回扱う4つの段階
翔太:
今回は「積極的無欲」については一旦省きます。さすがに長老レベルなので。
今回は、次の4段階を中心に見ていきます。
- 生存・生殖欲求段階
- 探索の段階
- 探求の段階
- 貢献欲求段階
僕といちろさんで台本を話しているときに、最初の3つを分かりやすく呼ぼうという話になりまして、かなりポップですが、
- 生存・生殖=ケツ追いフェーズ
- 探索=数追いフェーズ
- 探求=質追いフェーズ
くらいのイメージで捉えてもらうと分かりやすいと思います。
1. 生存・生殖欲求――「自分が得られるか」が世界のすべて
翔太:
最初は、生存・生殖欲求段階です。
オンラインコース受講前後、あるいは受講したてくらいをイメージすると分かりやすいと思います。
一言で言うと、
「自分が受け入れてもらえるか」「自分が欲しいものを手に入れられるか」が世界のすべて。
行動の出発点が、基本的に「自分が得できるかどうか」なんです。
恋愛なら、
- 女性を抱けるか
- LINEが返ってくるか
- 自分はモテるか
- この行動で自分に利益があるか
こういうところに意識が向きます。
知識として「相手目線が大事」と分かっていても、余裕がなくなった瞬間、とっさに自分へ戻ってしまう。
それは、まだ自分が満たされていないからです。
いちろ:
「利益を求めている=まだ利益が足りていない」ということですね。
翔太:
そうです。
だから、女性との会話やデートも、どこか「試験」のようになります。
女性は自分を評価する審査官。
オンラインコースどおりにできたらプラス10点。
ミスしたらマイナス10点。
常に「正しい答え」を探している。
「オンラインコースで言われたアクションは全部やったのに、クロージングできませんでした。なんでですか?」
みたいな相談も近いです。
正しい行動をしたのだから、利益をもらえるはずだと思っている。
会社でも、「言われた仕事はやったんだから、給料をくれればいいだろう」となりやすい。
ここではまだ、相手がどう感じているかを見る余裕が少ないんですよね。
デートの振り返りも、
「自分は正しいアクションができたか」
ばかりを見ていて、
「相手はあの瞬間、どう感じていたのか」
まで目が向きづらい。
その結果、小手先のテクニックや、楽に成果を出せる裏技を探しやすくなります。
YouTubeでノウハウを探し続けるのも、この段階では自然なことです。
いちろ:
うまくいかないと攻撃的にもなりそうですね。
翔太:
なりますね。
満たされている人を見てイライラしたり、カップルを見て「爆発しろ」と思ったり。
僕自身、男磨きを始めた頃、デートが3回くらい連続でうまくいかないと、めちゃくちゃイライラしてポルノに戻ったりしていました。
「なんでだよ」
「全然うまくいかないじゃん」
みたいな感じです。
目の前の欲にも負けやすい。
ただ、これは「悪い段階」ではありません。
始めたばかりなら、当然ここを通ります。
そして、何度か成功体験を積んで、
「アプリを2か月ちゃんと回せば、2〜3回はクロージングできるな」
「もうセックスそのものには、そこまで困らないな」
という感覚になってくると、少しずつ余裕が出てきます。
そこで初めて、
「抱けるようにはなったけど、これでいいのかな」
「これで幸せなのかな」
という虚しさが出てくる。
この虚しさや余裕が、次の段階へ進み始めたサインの一つです。
2. 探索――「すごい俺」になりたい数追いフェーズ
翔太:
次は探索。僕らが「数追いフェーズ」と呼んでいる段階です。
一言で言うと、「すごい俺になりたい」という欲求が強くなります。
自分の市場価値を上げたい。
周りより優れた自分になりたい。
レベルの高い女性を抱けるようになりたい。
生存・生殖では「自分が受け入れてもらえるか」が中心でしたが、ここでは少し視野が広がって、
「周りから高く評価されるか」
が重要になります。
大学院メンバーから「○○さん、すごいっすね」と言われたら、めちゃくちゃ嬉しい。
ただ女性を抱けるだけではなく、
「あなたと出会えてよかった」
「一緒にいると幸せ」
と言われたい。
SNSなら、投稿に大量の「いいね」がついたら脳汁が出る。
こういう感覚ですね。
いちろ:
この段階は、所属しているコミュニティによって「何がすごいか」が変わりそうですね。
翔太:
めちゃくちゃ変わります。
魅力の大学の中なら、
「何人クロージングしたか」
「どれだけ可愛い女性を抱けたか」
が評価軸になりやすい。
副業コミュニティなら「月いくら稼いだか」になる。
会社なら「同期1位」「出世コース」「年収」が分かりやすい。
だから、ある意味カメレオンみたいに、周りが「すごい」と言うものを自分も欲しくなる。
ここで起きやすい問題が、成果中毒です。
経験人数。
クロージング率。
美女攻略。
ライバー、芸能系、キャバ嬢など、周りから見てレベルが高そうな女性。
「これを攻略できないと嫌だ」
「成果を出し続けていないと、自分の価値が下がる」
という感覚になりやすい。
いちろ:
比較の世界に生きている感じですね。
上を見たらキリがないし、うまくいかないと一気に落ち込みそうです。
翔太:
そうです。
同じ「女性に断られて病む」でも、生存・生殖とは動機が少し違います。
生存・生殖なら、
「俺は欲しいものを得られなかった。最悪だ」
という苦しさ。
探索なら、
「こんな女性すら口説けない俺は、能力が低いと思われるんじゃないか」
という苦しさになりやすい。
成果報告を見て、少しズキッとするのも近いかもしれません。
「あの人は成果を出しているのに、俺は最近やってないな」
という劣等感ですね。
ここは、成果を出すために「自分を殺す」ことも起こりやすいです。
完璧なムーブをし続ける。
成果が出そうな振る舞いを選び続ける。
そのほうが、短期的には結果が出やすいからです。
でも、その状態では等身大の自分ではいられません。
だから長期関係になると、
「彼女に素を見せたらダメですか?」
「会った後、毎回すごく疲れます」
みたいな悩みが出てくる。
結果を追い続けているのに、どこか満たされない。
この「満足と虚しさ」が同時に出てくると、次の探求へ目が向き始めます。
3. 探求――「自分はどう生きたいのか」を探し始める
翔太:
次が探求です。
ここから、少し難易度が上がります。
一言で言うと、「自分らしく生きたい」という欲求です。
探索の段階で、成果や経験人数、スペック、周りからの評価をかなり追ってきた。
でも、ある程度やり切ると、それ自体への興味が薄くなってきます。
「俺、数じゃないな」
「経験人数が増え続けても、それだけではしょうがないな」
「ある程度結果は出たのに、なんでこんなに虚しいんだろう」
そんな感覚が出てくる。
そこで初めて、
「俺は本当は、どんな女性と一緒にいたかったんだっけ」
「何をしたいんだっけ」
「自分の信念って何だったんだろう」
と、自分へ目が向き始めます。
いちろ:
一周回って、自分に戻ってくるんですね。
最初も「自分」だったけど、三大欲求みたいな直接的な欲ではなく、「どういう生き方をしたいのか」「自分らしさって何なのか」という、もう少し広い自分に戻る。
翔太:
そうです。
だから、仕事でも起きます。
新卒の頃は、言われたことをとにかくやる。
評価面談で言われたことをやる。
成果を出す。
でも、仕事に慣れて、ある程度回せるようになってくると、
「あれ、俺これやりたかったんだっけ」
「3年前にやっていた仕事のほうが楽しかったな」
「何が違ったんだろう」
と考え始める。
30代後半や40代に起こりやすい「ミッドライフクライシス」も、話としては近いですよね。
人生の天井がなんとなく見え始めて、
「このまま残りのレールを走って、本当に後悔しないか?」
と自問し始める。
嵐の大野くんの話なんかも近いと思います。
あれだけ人気があって、周りから求められていても、「自分はどう生きたいのか」という問いが出てくる。
ただ、この探求段階にも罠があります。
自分の信念が、正義になりすぎることです。
「俺はこれでうまくいった」
「俺はこう生きる」
「だから、みんなもこうしたほうがいい」
となってしまう。
いちろ:
自分の正解を、相手にも適用してしまうんですね。
翔太:
そうです。
例えば、自分が若い頃に「死ぬ気で働いて、失敗して、残業しまくって成長した」という成功体験がある上司がいたとします。
その人が、
「俺はこれで伸びた。だから部下もこれをやるべきだ」
と押しつけたら、合う部下は伸びるかもしれない。でも、同じやり方で壊れる人もいます。
相手の価値観を見ず、自分の信念だけを世界のすべてにしてしまう。
僕自身も、この傾向は今でもあります。
大学院の事業はこうしたほうがいい、自分軸は持ったほうがいい、という思いが強い。
主導したり引っ張ったりする強さにはなるけれど、余裕がなくなったときに、それ以外の価値観が見えなくなることもある。
恋愛でも同じです。
「自分らしさを出せるようになった」のはいいけれど、それを出しすぎて相手に合わせられなくなる。
自分のルーティンや正解を崩す気がない。
相手にも相手の信念があるのに、それを見ない。
そうすると、付き合うところまではいけても、
「かっこいいけど、一緒に生活するのはしんどそう」
「付き合うのはいいけど、結婚は違うかな」
となりやすい。
自分を持つことと、他者と共存すること。その両方が必要になってきます。
4. 貢献欲求――自分の信念を持ちながら、相手の信念も尊重する
翔太:
その先が貢献欲求です。
僕自身も、今ここを目指している途中だと思っています。
この段階では、探求で作ってきた「自分はこう生きたい」「こうありたい」という価値観は、ちゃんと持っています。
でも、それを「唯一の正解」だとは思わない。
「これは、あくまで自分の一意見だ」と捉えられる。
その上で、
「相手は何を大事にしているんだろう」
「この人の信念は何だろう」
「社会的に見たとき、どちらを採用するのがいいんだろう」
と考えられるようになる。
自分の意見と相手の意見を、横並びの一つの意見として見られる。
必要なら、自分のほうを柔軟に曲げることもできる。
ここまで来ると、単に「自分が幸せになる」だけではなく、
「自分の強みや信念を使って、周りにどう良い影響を与えるか」
へ関心が広がっていきます。
社会的な意義のためなら、自分が少し損することもできる。
いちろ:
マイケル・ジャクソンの映画を見たときに、近いことを感じました。
ダンスで自分を表現して終わりではなく、「人を幸せにしたい」とか、子どものために寄付をするとか、自分の信念が周りへの貢献まで広がっていく。
探求の段階なら、「俺はダンスでうまくいった。みんなダンスをやれ」になってしまうかもしれない。
でも貢献になると、人それぞれの幸せがあることを前提に、可能性を広げようとする感じですよね。
翔太:
そうですね。
相手の軸を尊重できる。
これは、長期的なパートナーシップにも必要だと思います。
子育てもそうですよね。
僕の親父はかなり探求寄りだったと思うんです。
「社会的に恥ずかしくない子どもにする」みたいな信念が強くて、僕はめちゃくちゃ「勉強しろ」と言われて、勉強ソルジャーとして育ちました。
もちろん、その信念があったから得られたものもあります。
でも、そこにもう少し柔軟性があって、
「お前はどうしたい?」
という確認が入っていたら、また違ったかもしれない。
自分が正しいと思うことを持ちながら、相手の「らしさ」も見られる。
そこまでいくと、講師を率いる人、チームを率いる人のような役割にも近づいていくと思います。
ただ、貢献の段階に行けば悩みがなくなるわけではありません。
「自分は周りの役に立てているか」
「社会に価値を出せているか」
が新しい悩みになる。
視野が広がるほど、解く問題の難易度も上がります。
でも、課題がなくなったら、それはそれで一番つまらないと思うんですよ。
だから「苦悩」というより、攻略するダンジョンのレベルが上がっていくくらいに考えればいいと思います。
いまの段階を否定せず、「遊びきる」
翔太:
ここまで4つの段階を話してきました。
ここから、「じゃあ各段階で具体的に何をすればいいのか」という話に入ります。
その前に、大事な前提があります。
いま自分がいる段階は、悪い段階ではありません。
生存・生殖にいてもいい。
探索にいてもいい。
僕らだって、全部通ってきました。
いま抱えている欲求や悩みは、いま悩むべき課題なんです。
だから、それを飛ばして「早く上へ行こう」としないでください。
むしろ、いまの欲求段階を遊びきる。やりきる。
次へ行きたいなら、まず今いる段階から逃げないことです。
生存・生殖のアクション――まず5人を目安にクロージングする
翔太:
生存・生殖は、かなり分かりやすいです。
オンラインコースをちゃんとやってください。
生存・生殖の悩みが小さくなって、初めて次へ行けます。
だから、生殖をやり切る。
自分の欲が満たされるまでは、ちゃんとやる。
数字の目安を決めるとしたら、何人くらいですかね。
クロージング率33%を超えるとか、クロージング数10人とか……。
いちろ:
数字で定義するのは難しいですが、「クロージングに緊張しなくなってくる」という感覚は大事そうです。
人数なら、5人くらいでしょうか。
5人くらい経験すると、自分のやり方もある程度なじんでくる気がします。
翔太:
じゃあ、ひとまず通算5人を目安にしましょう。
魅力の大学で恋愛修行を始めて、5人くらいクロージングできたら、「どうしようもなくセックスしたい」という困窮感はかなり減ってくると思います。
5人に届くまでは、ある意味「まだ生存・生殖かもしれない」と思って、初心を忘れずにやる。
大学院には、恋愛攻略壁打ち会、恋愛攻略について語る会、質問フォーラムがあります。
ここで「周りに貢献しなきゃ」と考えすぎなくて大丈夫です。
まず自分を満たしてください。
もちろん相手に迷惑をかけるという意味ではありません。
でも、自分を満たすことに後ろめたさを持つ必要はない。
自分のために質問フォーラムを使う。
壁打ち会で相談する。
オフ会で先輩に聞く。
まず、クロージングそのものを恐れなくなるところまでやる。
この段階では、一回黙って恋愛をやりましょう。
探索のアクション――手札と熟練度を増やす
翔太:
次は探索です。
ここでは、手札と熟練度を増やす。できることを増やす。
これに尽きます。
すごいと思われたいなら、一回すごいと思われるところまで行動してみる。
出会いの場所も限定しない。
マッチングアプリ。
街コン。
集団戦。
キャバクラ。
興味があるなら挑戦してみる。
成果が出なかったとしても、やってみること自体に意味があります。
仕事でも同じです。
一度、本気でキャリアアップを目指してみる。
その会社で「成果」と呼ばれているものを、本気で取りにいってみる。
やり切っていないのに、「自分に向いているもの」は分かりません。
自分の向き不向きも、自分が実際にやった範囲の中からしか判断できないからです。
いちろ:
この段階では、「承認されたい」という気持ちを悪者にしなくていいんですね。
「周りからすごいと思われたい」で頑張ってもいい。
翔太:
むしろ開き直ってください。
僕らもやってきました。
いちろさんも、副業でいろいろやりましたよね。
いちろ:
やりました。
noteを書いたり、ブログ、ライティング、プログラミング、デザイン、コーチング……。
いろいろやって、なぜか最後に恋愛の先生をやっています。
翔太:
僕もX運用やプログラミング、Instagram運用とか、いろいろやっています。
ボディメイクの発信もやったけど全然伸びなくてやめました。
でも、やったから「これは向いてない」と分かる。
いろいろやると、自分らしさの欠片が集まるんです。
4つ適当にやってみて、
「これとこれは面白かった」
「これは少し続いた」
「こっちは全然ダメだった」
と分かれば、次に試す4つの精度が上がる。
いちろさんの例も分かりやすいですよね。
いちろ:
僕は副業をやりたいと思ったとき、最初はプログラミングをやりました。
文系なのもあって、コードの記号一個で動かなくなるのが「キモいな」と思ってやめた。
次にデザインをやったら、「1ピクセルのズレが……」みたいな話が出てきて、「細かすぎて無理だな」と思った。
「じゃあ文字かな」とブログやライティングをやったけれど、ずっと文章を書き続けるのもしんどかった。
それで「俺、喋るほうだな」と思ってコーチングをやった。
ところがコーチングって、90%くらい相手の話を聞くんですよ。
「俺、喋れないじゃん」となった。
今こうやって講師や講演会をやっていて、やっと「僕は喋りたいんだ」というのが分かりました。
いろいろやったから、だんだんシャープになってきたんですよね。
翔太:
それが探索です。
失敗は全部データなので、まずはやってください。
探求のアクション――自分の「取扱説明書」をつくる
翔太:
探索をやり切ると、少しずつ材料がたまってきます。
- 努力しなくても続くこと
- 下積みが少なくてもパフォーマンスが出ること
- やっていて楽しいこと
- 周りから自然に評価されること
- 自分が心地よく動ける環境
こういう「自分が輝ける条件」が見えてくる。
僕なら、ロジックを組み立てることや、人をやる気にさせるように話すことが比較的得意です。
一方で、大学院のスミさんみたいに、カスタマーサポートで大量のやり取りを正確に返し続けることが得意な人もいる。
僕には絶対できないけれど、大学院には必要不可欠な卓越性です。
自分の意見が通りやすい環境が好きな人もいれば、逆に「決められたことを100%やる」ほうが安心できる人もいる。
一人でやるのが苦手で、誰かとワイワイやるほうが力を出せる人もいる。
こういう条件を探していくのが探求です。
そして、この段階で一番大事なのが内省です。
例えばノートや紙を4分割して、
- できた/楽しかった
- できた/楽しくなかった
- できなかった/楽しかった
- できなかった/楽しくなかった
のように、自分の経験を毎日ためていく。
「どんなときに自分は力を出せているのか」
「何をしているときに楽しいのか」
「何を周りから評価されるのか」
を蓄積して、自分の設計図、取扱説明書を作っていくんです。
ここは、答えが自分の中にしかありません。
いちろ:
内省してみても「自分らしさが全然出てこない」「それより、まだ周りから承認されたい気持ちが強い」と分かったら、それも答えなんですね。
翔太:
そうです。
その場合は、まだ探索をやり切っていないかもしれない。
だったら、もう少しやってみる。
もっと抱いてみる。
興味があったことをやってみる。
内省はどの段階でもやっていいですが、書く内容そのものが、いまの欲求段階を映す鏡にもなると思います。
貢献のアクション――自分の強みを「役に立つ形」で使う
翔太:
最後は貢献です。
探求で、自分が輝ける条件がある程度見つかっている。
その強みを使って、役に立ってみる。
大学院で言えば、Slackで自分の経験や価値観をアウトプットしてみる。
「僕はこういう考え方でやって、うまくいきました」
と共有する。
質問フォーラムで、他のメンバーの質問に答えてみる。
オフ会で相談に乗る。
そうすると、
「自分の強みは、こういう場面で人の役に立つんだ」
「自分では当たり前だと思っていたけど、これは価値になるんだ」
という感覚がつかめます。
パッと見、こういう行動って面倒くさいんですよ。
「質問フォーラムに回答するの、文字を書くのめんどくさいな」
と思うなら、まだ自分を満たすほうが大事な段階かもしれない。
もちろん、どの段階の人が回答してもいいし、それ自体は素晴らしいことです。
ただ、貢献欲求にいる人ほど、自分が役に立つことそのものから価値を受け取れるようになります。
立場上、運営側から「無料でみんなに奉仕してください」とは言いづらいんですけどね。
でも、貢献の段階なら、そういう行動を意識的にやってみてほしい。
昔、僕やSouさんがまだ大学院メンバーだった頃に「フィジカル部」を企画していたのも近いです。
ボディメイクが流行っていたので、
「大学院の中に、みんなで取り組める場があったらいいんじゃないか」
と、自分たちで場を作った。
別に運営から頼まれたわけではありません。
周りが求めているものを見て、自分の得意を使って役に立ってみる。
それを繰り返すことで、自分の強みの使い方もさらに分かってきます。
いちろ:
「余裕ができたから貢献する」という順番だけではなく、やってみた結果、
「こんなに喜んでもらえるんだ」
「これって自分の強みだったんだ」
と気づくこともありますよね。
僕も「喋ることなんて、みんな好きでしょ」くらいに思っていたので、それを喜んでもらえること自体が最初は意外でした。
翔太:
僕もロジックを組むことなんて、みんな普通にやると思っていました。
自分にとって当たり前のことほど、自分では強みだと分からない。
だからこそ、人と関わって、外に出してみることが大事です。
どの段階でも「対話」が必要
翔太:
結局、どの段階でも対話は重要です。
生存・生殖や探索なら、成果を出すために人から情報を得る。
探求なら、人と話すことで、
「みんなと自分はこんなに考え方が違うんだ」
「ここが自分らしさだったんだ」
と気づける。
貢献なら、周りと関わることで、
「自分の何が人の役に立つのか」
が分かる。
自分の欲。
周りからの評価。
自分の軸。
そして、周りにどう貢献するか。
どれも、人と関わらなければ見えてきません。
だから、大学院の中でもぜひ対話してみてください。
オフ会でも、語る会でも、質問フォーラムでもいい。
自分がいまどこにいて、何に悩んでいて、何を試そうとしているのかを外に出してみる。
そこから見えてくるものは、かなりあると思います。
いまいる場所で、やるべきことをやり切る
いちろ:
今回の2-1は、欲求の5段階の中でも、各段階がどんな状態なのか、そしてどう進んでいくのかという話でしたね。
翔太:
そうですね。
今回の大事なポイントは、
欲求段階は「上に進化する」のではなく、視野が広がっていくものだということ。
そして、飛び級しようとせず、いまいる段階をやり切ること。
- 生存・生殖なら、まず恋愛をやり切る。目安として通算5人のクロージングを目指す
- 探索なら、承認欲求も原動力にしながら、手札と熟練度を増やす
- 探求なら、内省を通して自分の取扱説明書を作る
- 貢献なら、自分の強みを周りの役に立つ形で使ってみる
まずは、自分がいまどこにいるのかを考えて、その段階のアクションをやってみてください。
次回2-2では、「自分軸・他人軸」という言葉を、この欲求段階に当てはめて考えていきます。
各段階で自分軸はどう使われるのか。どうやって自分軸を探していけばいいのか。
今回の内容をもう一度咀嚼しながら、次回までに理解を深めてもらえればと思います。
いちろ:
ということで、今回はここまでです。
翔太:
ありがとうございました。